セプテンバー

セプテンバー 

September

それぞれに真実━まだ見ぬ愛を季節(セプテンバー)に託して。

1988年10月1日-1988年11月2日

↑ PAGE TOP

作品概要

夏の雷雨は過去を洗い流し、そして何かが始まる━。

9月、セプテンバー━、それはやさしき断章のとき。春に萌え、夏の陽射しに身を焼き尽くして、初秋。季節は人々に急速と次なる出発のチャンスを与えてくれる。
この『セプテンバー』はウディ・アレンの16本目の監督作品である。これまでのニューヨークと違って、今回の舞台はバーモント。ここにある豪華なサマー・ハウスに集まった人々の、とりわけステファニー、レーン、ダイアンの3人の女性を中心に、夏の終わりの2日間をやさしい眼差しで描いている。カメラは一歩も野外に出ることなく、いくつもあるそれぞれの部屋をシチュエイションの舞台にして、室内劇の形をとりながら、静謐でしかもロマンチックに調和のとれたテンポでドラマが展開していく。
レーンは父が残した山荘で暮らしている。しかし、ここでの一人の生活にどこか物足りなさを感じていて、山荘を処分してニューヨークに出たいと思っている。“都会に出れば・・・”、現状への不満と将来への模索の日々を過ごすレーンは近隣のハワードと報われない関係を結んでいた。
この夏山荘を訪れて、レーンと一緒に行く夏を見送ろうとしているのは親友のステファニー、母のダイアンと彼女の現在の夫、ロイド。売れない作家のピーターである。
さて、レーンは娘として、往年の大女優であるダイアンのタフで奔放な生き方に不満を鬱積させていた。それはもうずっと以前のこと、母は父と自分を捨てて、愛人関係にあったギャングのもとに走ったのである。当時このスキャンダラスな事件は大変なセンセーションを巻き起こし、以来、レーンは淋しくみじめな重いをさせられていた。そして今年の夏、まるでレーンの神経を逆なでするかのように、ダイアンは自伝を出版すれば大金が入ることなちがいなしと、作家のピーターをともなって山荘を訪れてはしゃいでいた。レーンの心が夏の喧騒をよそに沈みがちな理由はこれだけではない。ピーターとひと夏を過ごすうちに彼を愛している自分に気がついたのである。しかし、母とは対照的でシャイなレーンは想いを打ち明けられずに、苦しい胸のうちを親友のステファニーに告白していた。
一方、ステファニーは夫と子供との生活にいまひとつ満たされない気持ちを抱いて山荘に着ていた。その彼女がピーターに愛を告白されたのである。夫との結婚生活、レーンとの友情・・・、彼女の心もまた様々は思いでゆらめいていた。レーン、ダイアン、ステファニー━、夏の終わり、初秋の気配ただよう山荘を舞台に、それぞれがやさしい愛の輪舞を奏でるのである。
出演はシャイでちょっと怒りっぽいレーンにミア・ファロー。彼女は今やウディ・アレンの映画には欠かせないヒロインで、今回が7作目である。ステファニーには『カイロの紫のバラ』以来、これもウディ・アレン映画の常連となり、『ハンナとその姉妹』でニューヨーク批評家協会賞、ロサンゼルス批評家協会賞、そしてアカデミー助演女優賞を受賞してノリにのっているダイアン・ウィースト。ダイアンには舞台女優として「バス停留所」でニューヨーク批評家協会賞を受賞したのをはじめとして、テネシーウィリアムズ、ニール・サイモンの作品で活躍しているイレイン・ストリッチ。ピーターには『華麗なるギャッツビー』『インテリア』『天国の門』に出演し『キリング・フィールド』ではアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたサム・ウォーターストーン。さらに『ハンナとその姉妹』『女さかり/ホリーとサンディ』でも好演して、幅広い演技力には定評がある。また、ハワード役のデンホルム・エリオットは『レイダース/失われたアーク』『大逆転』『眺めのいい部屋』『モーリス』で味のある演技を見せている。ロイドにはジャック・ウォーデン。彼は『十二人の怒れる男』『かんがれ!ベアーズ』『大統領の陰謀』『ジャスティス』『チャンス』『評決』『ナイル殺人事件』など、出演作品は多彩で『シャンプー』『天国から来たチャンピオン』で2度アカデミー賞助演男優賞にノミネートされている。
撮影は『ハンナとその姉妹』『ラジオ・デイズ』に続いて今回もカルロ・ディ・パルマが流麗なカメラ・ワークを見せている。その他、製作総指揮=チャールズ・H・ジョフィ、製作=:ロバート・グリーンハット、編集=スーザン・E・モース、衣装デザイン=ジェフリー・カーランドの、ウディ・アレン映画でお馴染みのスタッフがチームワークを発揮している。

 

↑ PAGE TOP

スタッフ・キャスト

監督+脚本:ウディ・アレン
製作:ロバート・グリーンハット
製作総指揮:ジャック・ロリンズ
エグゼズティブ・プロデューサー:チャールズ・H・ジョフィ
撮影:カルロ・ディ・パルマ
プロダクション・デザイン:サント・ロクアスト
編集:スーザン・E・モース

キャスト:デンホルム・エリオット/ダイアン・ウィースト/ミア・ファロー/イレイン・ストリッチ/サム・ウォーターストン
/ジャック・ウォーデン/アイラ・ウィーラー

1987年/アメリカ/83分/デラックスカラー
原語:英語

配給:ワーナー・ブラザース

↑ PAGE TOP