マイ・レフトフット

マイ・レフトフット 

MY LEFT FOOT

1990年4月7日-1990年6月8日

↑ PAGE TOP

作品概要

<かいせつ>
神は、ひとりの男に醜く不自由な四肢とともに輝く魂と芸術の才能を同時に与えた・・・。
アイルランドの画家であり、詩人であり、作家でもあるクリスティ・ブラウン(1932~1981)。彼は、生まれながらに重度の脳性小児麻痺に冒され、ほとんど植物同然に生きる事を強いれられていた。だが、彼の歪んだ肉体の中には芸術への激しい憧れと情熱が確かに生きづいていたのだ。彼は、たったひとつかろうじて自由の利く左足に自分の全てを託し、何百枚もの絵を描き、詩を読み、小説を綴った。それは、彼自身が生きていることの証しであり、人並の感情をもつひとりの人間なのだという悲痛な魂の叫びでもあった。“マイ・レフト・フット”━ 彼にとって「左足」は、閉ざされた心の扉を開ける唯一の鍵だったのだ・・・。
生まれ持った不幸に真正面から立ち向かい、苦しみの中で栄光に満ちた人生を謳歌したひとりの男の姿。その爽やかな生き様こそ圧倒的な感動を呼び起こさずにはおかないだろう。クリスティ・ブラウンを演じるのはイギリスを代表する人気俳優ダニエル・デイ・ルイス。『マイ・ビューティフル・ランドレット』(85)『眺めのいい部屋』(86)『存在の耐えられない軽さ』(88)など一作ごとにまるで別人のような顔で登場し、マスコミから“カメレオン俳優”となであだ名されている彼だが、今回も徹底した別人ぶりを見えてくれる。クリスティ・ブラウンの自伝小説「マイ・レフト・フット」を映画化したこの作品は88年9月にロンドンで封切られるや、あの『ダイ・ハード』をはるかに上回る爆発的ヒットを記録。その結果、ダスティン・ホフマン(レインマン)、ジャック・ニコルソン(バットマン)らなみいる候補者を抑え、主演のダニエル・デイ・ルイスが全英映画批評家協会賞の最優秀男優賞を獲得した。また、10月の第27回ニューヨーク映画祭でも「絶対に見逃せない一作」と各批評家の絶賛を浴び、その後ニューヨーク映画批評家協会賞の最優秀作品賞、最優秀男優賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞の最優秀男優賞と数々の賞を獲得している。
同じくロサンゼルス映画批評家協会賞・最優秀助演女優賞を獲得したブレンダ・フリッカー。乏しい中で13人もの子供を育て、クリスティの才能にいち早く気づき応援する母親を好演しているブレンダは、ロンドンのナショナルシアターで活躍中のベテラン女優だ。
監督・脚本のジム・シェリダン、プロデューサーのノエル・ピアソンは共に主人公クリスティと同じアイルランドの出身。ピアソンは生前のクリスティと交友があり、彼の私的エージェントを務めるほどの仲だった。彼は、ブロードウェイの舞台演出をしていたシェリダンの才覚に注目し、監督に起用した。シェリダンは、これが初メガホンとは信じられない程の手腕を示し、映画界の新たな注目を集めている。ふたりとも舞台中心に活躍してきたので、今回も舞台出身のスタッフ・キャストが目立っている。
音楽は、『黄金の腕』(55)『十戎』(56)『荒野の七人』(60)など数多くの名作を手掛け、67年には『モダン・ファミリー』でアカデミー作曲賞を受賞している巨匠エルマー・バーンスタイン。自らタクトもとっている。

<作家クリスティ・ブラウンについて>
苦悩の芸術家[画家・詩人・作家]であるクリスティ・ブラウンは、1932年アイルランド東部のダブリンに生まれた。乏しいレンガ職人の子だくさんの家に生まれたクリスティはブラウン家の10番目の子供だった。生まれた時から重度の脳性小児麻痺に冒され、医者からは「植物同然にしか生きられない」と宣告されていた。
並々ならぬ努力で脳性小児麻痺を克服し、その過酷な半生を綴った最初の著書「マイ・レフト・フット」が出版されたのは1955年。彼が22歳の時の事だった。69年、クリスティ37歳の時に書かれた「ダウン・オール・ザ・ディ」は彼の著書のうり最高のベストセラーになり、実に15か国語に訳されて世界各国で今も愛読されている。20代の時知り合った看護婦メリーと交際13年を経て、72年にめでたくゴールイン。仲睦まじい、幸せな結婚生活を送っていたが、81年のある日曜日の晩、クリスティは食事中、突然の心臓発作で倒れた。享年49歳。最愛の妻に看取られて、その短くも壮絶な一生の安らぎの幕が下ろされた。

<米英豪各誌の批評>
*人の心を揺り動かさずにはおかれない。信じ難い程すばらしい秀作だ。
(イブリング・ヘラルド)
*ジム・シェリダン監督の卓越した才能あふれるスクリーン・デビューだ、もう一度すぐにでも見たい。
(サンデー・インデペンデント)
*ダニエル・デイ・ルイスはかつてない難役を完璧に演じた。彼は国際的な栄誉に値する。
(イン・ダブリン)
*見逃してはならない一作。お涙ちょうだいのおセンチをすべて排除しあた、暖かく、ロマンチックな映画。
(プレイボーイ)
*この映画を見て心を動かされない人はいないだろう。
(ニューヨーク・オブザーバー)
*クリスティ・ブラウンは単に障害者してではなく、時に腹立たしささえ覚える人格に描かれている。
ダニエル・デイ・ルイスの名演は、いつまでも忘れないだろう。
(デイリー・ニュース)
*『エインマン』のダスティン・ホフマンをはるかにしのぐ、ダニエル・デイ・ルイスの驚きの演技。
(サンデー・タイムス)
*ダニエル・デイ・ルイスはまるで主人公の皮膚のしたにするりともぐり込んでしまったかのような演技をしている。
(コスモポリタン)
*全ての賞をこの輝かんばかりのダニエル・デイ・ルイスに与えよ。
(デイリー・スター)

↑ PAGE TOP

スタッフ・キャスト

製作:ノエル・ピアソン
監督+脚本:ジム・シェリダン
脚本:シェーン・コノートン
原作:クリスティ・ブラウン
音楽:エルマー・バーンスタイン
編集:J・パトリック・ダフナー

キャスト:ダニエル・デイ・ルイス/ブレンダ・フリッカー/レイ・マカナリー/ルース・マッケイブ/フィオナ・ショー

1989年/アメリカ/カラー/93分
原語:英語


配給:ワーナーブラザース映画

↑ PAGE TOP