フェアウェル さらば、哀しみのスパイ

フェアウェル さらば、哀しみのスパイ 

L' affaire Farewell

人は希望で動く。歴史は信念で動く。

2010年7月31日-2010年9月10日

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作品概要

1981年─
ソ連崩壊のきっかけとなった、ひとりの父親の真実の物語。

国際社会のパワー・バランスを塗りかえたソ連崩壊。
そのきっかけとなった20世紀最大級のスパイ行為〈フェアウェル事件〉。
歴史に埋もれた驚愕の実話がついに映画化!

20世紀最大のスパイ事件のひとつと言われるその驚くべき出来事は、1980年代初頭ブレジネフ政権下のソビエト連邦(ソ連)で起こった。KGB(ソ連国家保安委員会)のグリゴリエフ大佐が、自らが所属するKGBの諜報活動に関する極秘情報を、東西冷戦時代の敵陣営であるフランスに受け渡したのだ。しかもこの超大物スパイが提供した莫大な資料には、ソ連が長年調べ上げたアメリカの軍事機密や西側諸国に潜むソ連側スパイのリストなどが含まれ、まさに世界のパワー・バランスを一変させかねないほどの破壊力を秘めたトップ・シークレットだった。グリゴリエフのコードネーム〈フェアウェル(いざ、さらば)〉を冠して〈フェアウェル事件〉と呼ばれるこの空前のスパイ事件は、実際に当時のソ連を震撼させ、アフガニスタン侵攻の失敗とともに、のちの共産主義体制崩壊の大きなきっかけになったとされる。
何がグレゴリエフを、祖国を裏切るスパイ行為に駆り立てたのか。彼の情報は、どのようにしてフランス側へと渡り、超大国アメリカを動かしていったのか―。
監督は『戦場のアリア』のクリスチャン・カリオン。愛する息子と祖国のために死のリスクを冒すグリゴリエフを『アンダー・グラウンド』の映画監督エミール・クストリッツァ。民間人でありながらスパイ活動にのめり込んでいくフランス人技師ピエールに『戦場のアリア』のギヨーム・カネが演じ、その葛藤を繊細に表現した。
さらにクイーンの大ヒット曲「ウィ・ウィル・ロック・ユー」、かつて映画撮影が許可されたことのないパリのエリゼ宮殿を始めとする多彩なロケーション、そしてソニーのウォークマンなどの小道具なども、冷戦下の時代性や登場人物を効果的に肉づけしている。

祖国と息子のために死のリスクを冒した実在の男
〈フェアウェル〉の孤高の魂に触れたとき、誰もが涙する―

〈フェアウェル〉は「世界を変えてみせる。祖国のために、そして次世代を生きる息子のために・・・」という途方もない信念を貫き通し、本当にそれを成し遂げてしまった実在のスパイである。祖国と家族の未来を思い、西側への亡命の道を選ばず、金銭的な見返りすら求めなかった男の数奇な生き様。非情なるスパイの世界に身を置きながらも、ふとした瞬間に優しさ、切なさ、脆さを滲ませる〈フェアウェル〉の孤高の魂に触れたとき、観客の誰もが心揺さぶられずにはいられないだろう。特に圧巻となるラスト近くの息子への熱き想いは、父親という存在の哀しさと崇高さを重厚に滲ませる映画史に残る名シーンとなった。

【冷戦時代末期、世界を揺さぶった<フェアウェル文書>の事実】
1981年春から82年秋までの18ヵ月間、<フェアウェル>がDST(フランス国土監視局)に送った極秘文書の数は、およそ4000通と言われている。
ソ連は共産主義体制の破綻を隠蔽し、自国の経済では生産不可能なものをすべてスパイ活動と窃取行為によって手に入れてきた。そしてそれが国の最高決定機関によって命じられ保証されていた手段であることを立証した極めて質の高い証拠が、この<フェアウェル文書>だった。

●文書の主な内容
*科学技術戦線にかかわるあらゆる組織の全かつ詳細なリスト
*ソ連の軍需産業部門において、西側科学技術を非合法に獲得することで節約される費用についての、年次計画とその成果
*科学技術スパイとして世界各国で活動中の、KGB第一管理本部T局「Xライン」(映画では「X部隊」)に属する将校全員のリストなど
<出典:「さらば、KGB 仏ソ情報戦争の内幕」(ティエリ・ウォルトン著 時事通信社刊)より抜粋>

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スタッフ・キャスト

監督+脚本:クリスチャン・カリオン
撮影:ウォルター・ヴァン・デン・エンデ
音楽:クリント・マンセル 

出演:エミール・クストリッツァ/ギヨーム・カネ/アレクサンドラ・マリア・ララ/インゲボルガ・ダプコウナイテ/ウィレム・デフォー

2009年/フランス映画/113分/アメリカンヴィスタ/ドルビーSRD

提供:ロングライド+マイシアター
配給:ロングライド

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